また読みました。
秋になると読みます。
書き出しはこうです。「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした。」
離婚した夫と12年ぶりに再会をし、そこから始まる14通の手紙の往復。淡々と穏やかに時には感情のほとばしるままを書き綴る14通です。お互いの12年を語り合っていきます。
毎回同じところで泣きます。今回もそうでした。
「いつまで書いていてもきりがありません。いよいよ筆を擱くときが来たようでございます。私はこの宇宙に、不思議な法則とからくりを秘めている宇宙に、あなたと令子さんのこれからのおしあわせをお祈りいたします。この手紙を封筒に入れ、宛名を書いて切手を貼り終えたら、久し振りに、モーツァルトの三十九番シンフォニイに耳を傾けることにいたします。さようなら、お体、どうかくれぐれも大切に。さようなら。」
最後の手紙のこの結びをどう形容しましょうか。せつなくて苦しくて、でも凛として強くて。薄い薄い本ですが、わたしにとっては壮大な本です。